本屋の改造


           
         
         
         
         
         
         
     
 良い子どもの本(なにが良いホンか、というハナシはとりあえず横においといてェ)をおいている本屋が少ない、という嘆きはよくききます。
 それはその通りで、子どもの本どころか、いまや大人の本もろくすっぽ手に入らないくらい本屋さんの数は減ってきてしまいました。
 どんな商売も一軒の店を支えていくだけの売り上げイコールそれを買う人たち、つまり人数が必要になります。
 毎日どんな人でも必ずある程度は買う食料品を売っている店は何百人、何千人単位ですむだろうし、そう毎日売れるものではない着物などは何万人もの人口を必要とするでしょう。
 そう考えると本を買えなくても別に不自由だと思わない人が多い地域で、実入りの少ない「本」という商売をするのはキツい。
 「本」というのは実入りが20パーセントです。
 つまり一ヵ月、一千万、本が売れた本が売れたとしても実入りは200万・・・。そこから家賃、光熱費、人件費を払わなきゃいけない(あ、あと通信費もだ・・・。電話代ってバカにならないんだよね)となると一千万じゃまず赤字だな。
 でもその一千万のためには一ヵ月7千冊くらいの本を売らないといけない。
 7千冊って・・・結構あるよ。
 でも、もちろん一ヵ月に1万円は本を買う、という人がたくさんいればせまい地域でも商売が成り立つし、そうでなければ広い広いエリアとしないとやっていけないわけです。

 という話をなぜながながとしてきたかというとですね、ここに一軒の本屋があります。 福岡県大川市にある大型ショッピングセンター「ゆめタウン」のなかにある「ブックロード」という店です。
 そこがどういうわけだか私に本の品ぞろえを頼みにきたのです。
 社長さんはまだ若く、大変やる気のある人で、大川市・・・だけでは本屋としてやっていくのは難しいのでなんとかして他市からも人を呼びたい・・・。それには子どもの本しかないと思う・・・という話なのです。
 図書館と違って本屋はまちがえたらつぶしてしまうのでめったに手は出せないのですが、彼はとても有能な人だし、ヤバイと思ってら方向転換するだろうし、大川市は博多まで車で一時間・・・。
 九州で大型書店がそろっているのは博多だけですが、よっぽど本好きでなければわざわざ本を見に毎月行くのはキツイ距離だし、大川市のむこうには、もっと博多まで行きにくい地域が広がっているのです。
 立地条件としては悪くない。
 おまけに店に行ってみたら、特注したということで、壁一面、面出しにも棚差しにもできる、かなり力の入ったシックな本棚でやりやすい・・・。本が好きな人がやっている良心的な本やさんだね。
 というわけで、私、今度は本屋さんの改造にとりかかることになりました。
 いっぺんに買えるにはこちらもあちらも大変ですから少しずつ、ということになりますので、もしお近くのかたでもキョーミのあるかたはどうぞお寄りになってください。
 改造前、改造中、改造後・・・を見るのは本の好きな人には結構おもしろいことでしょう。
 そうしてできれば毎月、何冊か子どもの本を買ってくれるサポーターになってくださると大変ありがたい・・・。
 もちろん欲しくない本を買うというのではなく、行く前には決して買うまい、と思って決心して行ったのに、ついつい買っちゃうのよねえ、だって欲しくなるような本が並んでるんだもの、というのが私としても理想的・・・。
 これは「ブックロード」さんだけではなく、各地にやっぱり本が好きで本屋をやっていてできれば良い本を入れたい・・・でも売れないから結局、息が続かないんだよねえ、と思っている本屋さんはいるだろうと思います。
 良い子どもの本をおいてない、といって怒るのではなく、おけるように市民が本屋を買い支える、ということも大事だと私は思います。
 もっとも私が「良い本」というのは大人にとって都合のいい「良い本」ではなく、子どものとっての「良い本」ですけどね。
 いまのとこ私の机上の空論では、ひとつきに子どもの本を二冊(ということは千円から四千円くらいのあいだだね)買ってくださるお客を二千人つけられたら、なんとかなるのでは、なのですが、中学校や幼稚園でまとめて何万か買ってくださるお客様がついてくださればもっと人数は少なくてすむでしょう。
 小・中の学校に入れて欲しい秀れた科学の本などもおくつもりでいますので、特に学校の先生のは見にいらして欲しいと思っています。
 実際に手にとって触れると、違うよ!

 というわけで、このホームページをお読みになったかたがた、そういう本の情報を必要としているかたにおしらせくださったら嬉しく思っています。
 そうして最後にひとつお願いですが、本屋なのでそこで本をメモして帰るだけ・・・というのはできればやめていただきたい。
 もちろん「ブックロード」さんはどうぞ、どうぞ、とおっしゃるでしょうが、大人なのですから、コンビニで雑誌を立ち読みしたらガム一つくらい・・・タバコ屋さんで道をきく時にもライターの一つくらいは買うのが礼儀でしょう。
 伝票でしか本が買えない、という事情もわかりますが、本をそこまで楽しめるには手間もひまもかかるのです。 そうして売れればまた次の本を仕入れることができるのですから、よろしくご協力のほどを。