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子どもの本のためのコラム● 子どもの本の読ませ方 子どもたちに本を読んでいただくときに一番大切なことはなにかというと、彼らの、読みたい!という体の奥から突き上げてくる〃欲求〃を一番大事に思うことです。 なーんだ、カンタンじゃない…・:と思う? それがね、それほどカンタンじゃないんだなあ……特に親には。 だって子どもたちは、あなたが「いいな、読んでほしいな」と思う本にはキョーミを示さないかもしれないもの・・・。あなたがイヤだ〜と思う本ばっかり、好きだっていうかもしれないしね。 読みたいっていう子どもの気持ちを尊重するのって、決してカンタンじゃあ……ないでしょう? でも、あなたの本を見る眼が秀れていてもいなくても、人の好みにあれこれ口出しするなんて、それは大きなお世話というものです。 だって考えてみてよ。もし隣りに、とっても親切でおせっかいなおばさんがいて、あなたの着る服から読む本まであれこれうるさく干渉してきたら……どうする? しかもその人のセンスがあなたとは全然合わなくて、あなたがとうてい耐えられないとしたら……? たとえその人の指摘や紹介がいちいちごもっともだとしても、あなたがその人をとっても尊敬してるとか好きだってわけじゃなかったら……ああ、こっちのほうが、なまじあたってるだけにやっかいだな……でしょ。ね? その人がその情報を必要だ、と思わない限り、そういうのってやっかいでうっとうしいだけなのよ。 というわけでまず一番にしていただきたいことは、子どもが本を選んだ時に、決して口をはさまないということです。できれば図書館みたいに本がたくさんある場所へ連れてって、むこうがこれ読んで、読んで、というものは、みーんな読んであげてください。 子どもが好きな本と、あなたの好きな本が一致することは幸福ですが、それは稀にしかおきない幸運なんだ、くらいに思ってください。 だって年だって三○近く違うんだし、個性だって違うんだから、好みが一致するほうが不思議ですよ。あなただって自分の友だちと、ことごとく趣味があうってわけでもないでしょう。それでも友だちやってられるんですから、本の趣昧が違ったって、親子をやってけないなんてことはないはずです。 ときどき、これなんかどう? と出すのは子どもの世界を広げることになるかもしれませんが、本としては秀れていても、あなたのお子さんが「これおもしろくない!」といったら、素直に「そうお?」といってひっこめてください。 それから、お腹がぺこぺこの時にたべるご飯はおいしいです。栄養が体じゅうに浸み渡っていくのを感じます。で、その時もちろん、貧しいご飯(いろんな意味でね)よりは豊かなご飯のほうが、人間はよく肯ちます。 でも、まず第一にお腹がすいてなきゃ……。 知的な刺激を欲しい、というお腹がぺこぺこの状態ではないのに、本を読まなきゃならないってのもねえ……つらいてしょう? 本もご飯と何じです。お腹がすいている時に、その人に一番必要な栄養と調理法と分量があったものが、一番おいしいんです。赤ちゃんにステーキ食べさせたらお腹こわしちゃうでしょ。 わからなくなったらどうぞお子さんの顔を見て! あなたがお子さんを自分のしたいようにコントロールし、あなたが満足しているかどうかではなく、お子さんの顔が満足で光リ輝いているかどうか……それがあなたの難破を免れさせてくれる灯台です。 子どもたちを愛するすぺての大人たちへ
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