上の議員: 次に、国際児童文学館についてお尋ねをいたします。まず、移転事業費の予算要求についてお聞きいたします。 先の9月定例府議会において、我が党をはじめとする4会派の議員が紹介者として名を連ね、国際児童文学館の現地での存続を求めた請願が、全会一致で採択されたことは記憶に新しいところであります。 であるにも関わらず、11月17日、府のホームページで公開された、来年度当初予算の予算要求書を見ますと、これから財政担当部局の査定が入るとは言え、教育委員会として、国際児童文学館の中央図書館への移転事業費として約7億6千万円の経費を要求している事実があります。 これは、現在の府の財政状況から見ると、すこぶる大きな金額でありますが、それにもまして、全会一致の請願を無視した、議会軽視の状況であると考えます。 この点について知事はどのように認識をしておられますか。知事のお考えをお尋ねいたします。 知 事: 9月定例会において「国際児童文学館を当面、現地で存続させること」との請願が全会一致で採択されたことは十分承知しております。 しかしながら中央図書館へ移転することにより、児童文学館の約70万点の貴重な資料を、より多くの子どもたちの利用に供していきたいとの想いは変わっておりません。 また、移転に伴い中央図書館での一体的な運営を行うことにより、現地で存続する場合に比べて大幅な運営経費の削減が図れることを、大阪維新プログラム案でもお示ししたところであります。 7億以上の予算を使ってでも、まさにこのお金を使ってでもですね、ぼくは子どもたちに、あの貴重な70万点の貴重な資料を、できる限り多くの子どもたちに見せたいという想いがありまして、私自身の目で現場を見に行ったことと、また議会で全会一致で採択されたことは充分承知しておりますが、私自身も、二元代表制の下で、私自身も府民の声を受けているものと思っております。 あとは府議会の先生方との意見交換の中で、議論の中で、どういうふうにするのか、最終的な落ち着きどころをどうするのかということは、また議論はさせて頂きたいとは思いますが、私も府民の声を受けた上で、7億以上の予算を使ってでも、より多くのこの70万点の資料、今までの展示の仕方ではなく、もっとより多く、子どもたちに幅広く読んで頂きたいという想いで、このような形で進めさせて頂いております。 今後予算編成作業を通じて移転に向けた具体的な検討を進め、府議会をはじめ関係者の皆さまにご提示し、ご理解を頂きたいと考えております。 上の議員: 児童文学館について、2番目の質問に移ります。 国際児童文学館の70万点に及ぶ蔵書の数々は、昭和55年に児童文学者の鳥越 信氏から府が寄贈を受けた12万点余りの鳥越コレクションに由来するわけであります。その後、それに追随する形で、編集者・作家である南部 新一 氏からコレクション1万5千点、大阪市内の塩崎紙芝居博物館から街頭紙芝居4千点などといった具合に、大口の寄贈者や出版社のほか、多くの寄贈者の方々の結晶として、現在の国際児童文学館の蔵書の姿があるわけです。 知事は、移転、移転と言われますが、こうした寄贈者の方々の声をナマで聞かれたことがありますか。 知事は現場の声を大事にすると言われておりますが、国際児童文学館の移転問題についてはそういうこともなお、なさらずに移転を強行されることは、とても民意を反映しているとは思えないのであります。 私は、武道家でもありますが、あいさつは全ての行動の基本と考えております。知事は、寄贈者の方々にいわば一言のあいさつの礼を尽くされることもなく、意見をナマで聞くこともなく、移転を主張されております。 橋下知事、私が仲介の労を取らせていただきますので、是非一度、寄贈者や関係団体の方々に直接会って、あいさつをし、ナマの声を聞いていただくことはできませんか。お尋ねいたします。 知 事: まず、私が重視しなければならないのは、やはり子どもたちにとってどのような施策が一番重要なのかということを考えるべきだと、私は思っております。 色々ご意見あるかも分かりませんが、府の限られた財政状況の中で、今の現地存続よりも効率的なお金の使い方でもって、より多くの子供たちにあの貴重な資料を見て頂ける、見て貰えるのはやはり中央図書館への移転だと思いますが、ただし議員ご指摘のとおり、全会一致で議会の皆様が移転を反対しているということは重く受け止めさせて貰いまして、これは会派に限らず、会派にとらわれず、どの先生方も全員皆さん現地存続というようなご意見でありますから、先生の、議員のご尽力と言いますか労を取らせてしまって大変申し訳ございませんが、その他の会派の皆さんでもその仲介の労を取って頂ける議員の皆さんがいらっしゃるのであれば、是非お願いをしまして、その寄贈者の声や関係者の声、ナマで聞かせて頂きたいと思いますので、またお手数をおかけしますが、その場の設定の程をよろしくお願いしたいと思います。 上の議員: 知事から、今、「会う」という旨の答弁をいただきましたが、それでこそ、寄贈者の方々への礼を尽くされることになると確信いたします。 今日、議場にも、国際児童文学館が開館する以前から長く支援活動をして来られている「国際児童文学館を育てる会」の皆さんが来ておられます。本当に喜ばれると思います。知事のご判断に感謝申し上げます。 さて、今、国際児童文学館は、そうした中でも非常に頑張っております。 児童文学館の年間入館者数は、19年度末で約5万2千人ですが、これは能勢町にある府立総合青少年野外活動センターの年間利用者数の約6万7千人などと比べても決して遜色なく、むしろよく利用されている方ではないかと思っております。 さらに、利用という意味では、この約5万2千人の方々とあわせて、国際児童文学館が実施する数々の質の高い講演会、セミナー、レファレンス・サービスや複写サービス、団体利用プログラムなど、すこぶる多くの府民が利用していることは事実であります。 とりわけ、最近では、11月22日に開催された、大阪高速鉄道株式会社などの協賛を得て、貸切りモノレールに乗っておはなし会などを楽しむ「おはなしモノレール」は、特に好評であり、今回は定員を2倍に増やしましたが応募者数は定員の2.4倍の586人もあったと聞いております。 また、来年1月には、女優の竹下景子さんを迎えて朗読会を開くなど、入館者の増加や児童文化の振興に向けて涙ぐましいほどの努力をしております。 さらに、国際児童文学館の外においても、今月20日に、岸和田市立図書館において、国際児童文学館が開館する以前から長く支援活動をして来られている「大阪国際児童文学館を育てる会」などが主催し、いわば国際児童文学館の事実上の設立者と言っても過言ではない児童文学者の鳥越 信 氏が、児童文学館の蔵書に関して講演をされるほか、「子どもの未来と児童文学館」と題したシンポジウムも開催されると聞いております。 知事もお忙しいとは思いますが、是非、こうした催しにも足を運んでいただき、国際児童文学館の努力の片鱗でもご理解いただきたいところですが、こうしたいろいろな努力の結果も最後まで見ずに移転を判断されることは、やはり拙速にすぎると私は考えます。 知事のお考えをお尋ねします。 知 事: 私が直接確認しなければいけないのは、またお話を伺わせていただかなければいけないのは、その当事者の声だったり、施設の現場の状況でありまして、そのPR活動やその催し物についてまで、私がそれを見て、移転を判断するかどうかの基礎資料にはなりえない、それは報告で私は充分かと思っております。 すべてこのようなことをやっていれば大阪府政について、じゃあどれを出て、どれを出ないのかということに関わってきますので、やはり私の判断に必要なのは、その当事者である寄贈者の声だったり関係者の声だったり、またやはり現場の状況、現場の状況はもう見てますので、あとは関係者の声は、府議会の先生方のお手数をおかけしますけれども、できるかぎり多くの先生方を通じて、その関係者の方の声を、意見を聞かさせていただきたいというふうに思っております。 国際児童文学館のその活動は、色々なところで報告を受けておりますが、やはり遅きに失したと言いますか、もっと早くこういう活動をなぜやっていただけなかったのかと、私がこういう問題を提起する前に、もっと早くから活動を続けて、この利用者人数というものを増やしていれば、こういう問題にならなかったのではないかと私は思っております。 府の施設として、議員は5万2千人という数が十分ではないかということで府立総合青少年野外活動センターの年間利用者数と比べられていますが、私はこの府立総合青少年野外活動センターの年間利用者数も極めて少ないということで、かなり厳しくこのあたりは言っております。やはり府の880万人を抱える施設である以上は、どう考えても2桁に乗せなければ、維持費、コストと考えてもやはり府民全員への、府民への広域的な利益というふうには考えられないものと私は思っております。中央図書館は利用者が約65万人、やはりこれぐらいの数字になって初めて府が抱える府の広域行政体の施設と言えるのではないでしょうか。5万2千人という数であれば、これは基礎自治体の行政サービスとして基礎自治体にしっかりとやっていただけるような施設になるものだと私は思っております。 極めて厳しい府の財政状況の中、児童文学館の貴重な資料をより多くの子どもたちの利用に供していくためには、中央図書館へできるだけ早く移転することが適切と考えており、何卒ご理解をいただきたいと思っております。 上の議員: 知事は御理解と申されますが、私は全然理解していません。知事の答弁は全部中央図書館に統合するということでございまして、そういうことには納得できません。全会一致の請願を無視し、国際児童文学館の中央図書館への移転事業費として約7億6千万円もの経費を要求している事実自体が、納得のいくものではございません。 国際児童文学館につきましては、もっと慎重に行うべきです。今、この世に存在するもの全ては、ある時いきなり今の姿になったのではなく、必ず「積み重ね」があります。 そうした積み重ねを単なる「過去の出来事」として、現在の事情だけで切り捨てるのではなく、積み重ねをされてきた図書資料の寄贈者に「礼」をもって対応される。そうした態度こそが、知事という、大・大阪府を代表する仕事をされるためには不可欠なのではないでしょうか。 礼を尽くされた形での、国際児童文学館の現地での存続を強く要望いたします。 |
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