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97/02子どもも視野に入れた物語の中で現在(二月六日)品切れ中なのは『FF7』と『たまごっち』。 先月末日、『FF7』の発売時間が迫る近所のコンビニ数軒を自転車で巡る。どこも十四、五人の子どもが集まっている。午前七時、ソフトを手に入れた中学生二人。別れ際に「がんばろうな!」と声を掛け合う。友情ってやつやね(確かにそのときの彼らの笑顔はとても美しかった)。 その日、百万人以上の子どもたちが世界を救うため旅立った。その中間報告、SOS、救いの手などはインターネットのゲーム専用サイトに記されていくだろう(あるゲームサイトでは四日目の時点で約六百件の報告書が提出されている)。 そして、別の場所ではラッキィにも同じく百万人近くの若者が、手に入れたミニゲームの中、たまごから生まれたたまごっちを育て続けている。 そうしたデジタルな時代(例えば、手元にある最新の『読書人』(二月七日号)の『読書人週間日誌』コーナーでも四つの記事のうち二つはデジタル系)、子どもに関係するコンピューター雑誌が二つ創刊された。 パソコンゲーム誌『TECH Win』の兄弟誌である『えでゅ』(アスキー・1480円)は購買層を就学前の子どもを持つ親辺りに定めていて、タイトルもエデュティメントから採っている。一方の『デジタルキッズ』(小学館・980円)は版元の『小学六年生』にあるコンピューター情報欄からの発展雑誌で、直接子どもを読者に想定していおり、エンターテーメント色が強い(親と子、そのどちらに顔を向けるかでエデュケーションとエンターテーメントに別れてしまう事態が、これらの新しい雑誌においても生じているのはおもしろい)。 エデュティメントソフトはこれまでもあるけれど、それは書物でいえば単行本。そうではなくCD−ROM添付の雑誌という形態で出てきたことには注目しておきたい。家族とはコンピューターを所有しているものだという前提がそこにはある。だから『えでゅ』では「子供とパソコンの相談室」を設けて親が「子ども+パソコン」とどう付き合っていけばいいかを伝授しようとするし、『デジタルキッズ』ではインターネット接続までの具体的な方法をのび太くんが教えてくれる。 添付されたCD−ROMと雑誌本体の関係も従来のコンピューター雑誌と違い、CD−ROMに主体があり、雑誌本体の側はそれを有効に活用するためのマニュアルとして位置づけられている。CD−ROMを起動してみると、絵本、アドベンチャーストーリー、ミニ四駆情報、ゲーム、アニメ、着せ替え、CGビデオ、お絵かきと盛りだくさん。まさに雑誌のノリ。とても気軽。 また、当然のことながら子どもが興味を持つであろうホームページのインターネットアドレス情報もある。もちろんそこからリンクしていけば、大人との間に情報量における差はない子どもができあがるだろうことは想像に難くない。 何の違和感もなく、物心がついたときから側にあるコンピューターと接触するデジタルキッズ。ごく近い将来に台頭するそんな子どもたちの始まりを両誌は告げているのやね。 これまで書物メディアに活動の拠点をおいてきた児童文学は、今後この新しいメディアとどう拘わって行くのやろう。例えばクリックブックと名付けられた『ルル』(東北新社。4800円)なんぞにはそのためのヒントがいくつかあるけれど。 いやいやそれよりもまず、デジタルキッズが主人公となる児童文学、それがいつ、どんな形で出現するかが気にかかる。 子どもも視野に入れた物語の中で今月私が最も楽しんだのは『FF7』。
読書人 21/02/97
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