子どものHP/MP

(04)コンビニの発見

           
         
         
         
         
         
         
    


 ティーンズが夜、コンビニにたむろし始めてもう10年以上が過ぎました。暗い町中で明るく光る空間。何をするでなく、店外でしゃがみ込み、店内で雑誌を読み、カップヌードルをすすり・・・。とりあえずそこに集まってくるという意味では、昔の原っぱや空き地に似ています。家庭や学校は、彼らがまだ「子ども」であることを常に意識させるように(例えば子ども部屋、教室)できています。でも、原っぱや空き地は使用目的があいまいなままの場なので、私もティーンの頃、そこではとても気が楽だったのをよく覚えています。一方コンビニの、マニュアル通りの品質管理や品揃えや接客態度は、店員と客の関係以外に過度な意味が付与されてないのでここでもまだ「子ども」であることはさして意味を持たないのです。そしてスーパーと違って店内が一望できる程度のスペースは、店というより部屋のイメージに近い。これも心地よさの理由です。しかも原っぱと違ってコンビニは、お金さえあれば何かが必要になったときいちいち家に帰らなくていいのでとても便利で快適。繁華街に比べて安全で、一息つける場所として、彼らはコンビニを発見したわけです。
 その使い方もだんだん進化してきて、通学前そこで集合し、学校に持っていくサンドイッチやおにぎり、おやつを買い、ゲームやファッションの雑誌にチェックを入れる風景が今は見られます。夜のたむろがなくなったわけではありませんから、コンビニへの依存度が高まったと言った方がいいでしょう。
 コンビニの限られた棚で、最近スペースを拡げてきているのが、化粧品とスキンケア用品。後者は男性用もちゃんと置いてある。コーティングするか整えるかの違いはあっても、要するに自分の外皮をコントロールするためのアイテムです。「外見じゃなく中身が大事だよ」と言われてもなー。彼らの声が聞こえてきそうです。
(ひこ・田中 「図書館の学校」2000.12)