子どものHP/MP

(07)GBを必要としている

           
         
         
         
         
         
         
    
 CES(コンピューター・エンターテイメント・ソフトウエア協会)の調査によると、子どものTVゲーム離れが進んでいます。97年には77.1%がプレイしていたのに、2000年は66.9%。わずか3年で実に10ポイント以上の下落。
 原因はいくつか考えられますが、一つは、ニューハードとして登場したPS2(プレイステーション2)が、まだ大ヒットソフトを生み出していないこと。PS2はDVDの購買層を一気に引き上げたくらいでしょう。
 もう一つは、PS2が比較的年齢層の高いプレーヤーをターゲットにしているため、今の子どもにとってのソフトそのものがそれほどないこと。ですから、当面子ども用のハードはGB(ゲームボーイ)となります。これは、ソフトセールス・ランキングのここ数週間を見ると、PS2用ではなくGB用が圧勝していることからも分かります。GBのハードはモノクロ時代から今人気のカラーまで様々なヴァージョンが出ていますが、ハードとしては決して新しいものではありません(1989発売)から、TVゲーム界そのものが停滞しているのは確かなことです(といっても、そもそも77.1%というのがとんでもない数字で、10ポイント下落した66.9%でもものすごい数字だと思われるかもしれません。3人に2人はやっているのですから)。
 子ども向けの新しいハードが出ていない。けれど、そう思うより、GBがこれだけ長生きしていることに注目。それどころか、一千万台を突破するのにかかった年数が五年で、それから一億台までいくのにも五年。バブル崩壊後もGBだけは右肩上がりの成長を続けているのが分かります。老いてますます盛ん(?)。いえいえ、子どもはどんどん入れ替わりますから、初期のGBユーザーの多くはPS2に移行し(もちろんまだやっている人もたくさんいますが)、世代交代した、今の子どももまたGBを支持しているのです。いやむしろ今の子どもの方が支持しているといってもいいのかもしれません。これはなかなか興味深い現象です。というのは、12年前の子どもより、今の子どもの方がGBを必要としていると考えることができるからです。(以下次号)。
(ひこ・田中 「図書館の学校」2001.04)