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クラレが、新一年生の男女それぞれ2000名とその親4000名の合計8000名に「将来、就きたい職業」と「将来、子どもに就いて欲しい職業」のアンケートをとりました(http://www.kuraray.co.jp/kuraray/live/databank/no_23/data_m.html)。昨年と一昨年のデータもあります。 それぞれのベスト10は毎年さして変わらないのですが、男の子とその親で昨年に著しく上がったのが、「職人」。男の子では0.6%から7.5%(4位)。親は1.2%から4.9%(5位)。どちらもベスト10圏外から一気にベスト5入りの急上昇。そして今年も「職人」は強く、男の子は6.8%で4位。親は5位。 親の場合は、この不況を生き延びるには手に職を付けるのが一番との発想でしょう。もっとも、新一年生が職につくのは早くても十数年後ですから、そのころ「職人」がおいしい職業である保証はありませんが。 男の子の方はどうでしょう。やはり不況故でしょうか? 新一年生も不況を心配しているのなら、事態はそうとう深刻。けれど、いくらなんでも、それはないでしょう。あったら怖い。考えられるのは、親が「不況だ。これからは手に職を」なんてことを、別に子どもに聞かせるでなく、話しているのを耳にしていること。としたら、新一年生で親の意向を意識しているわけです。 女の子では、子どもは1位「パン・ケーキ、お菓子屋」(27.4%)で、これは3年間不動。理由は述べるまでもないですね。あと、「花屋」「看護士(婦)」「保育士(保母)」「医師」。そこにはジェンダーが今でも色濃くあるのがわかります。親はといえば、「看護士(婦)」「保育士(保母)」「公務員」「医師」「教師」の順。ベスト5の中味は3年間全く変わりませんが、「教師」のポイントがかなり落ちて(9.1%から5.9%)、「保育士(保母)」が上昇(7.7%から11.7%)。親の方が、「女の子」回帰が強いのです。不況で男の子を「職人」にしたい親は、不況で女の子を「女らしく」育てたくなっている。「保母」が「保育士」に変わっても、まだまだ現実はそういうことです。 (ひこ・田中 「図書館の学校」2001.06) |
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