コドモの切り札

(29)

ポケモンとは何か?

甲木善久
           
         
         
         
         
         
         
         
    
 ハクリューをカイリューに手っ取り早く進化させようと裏ワザを使ったら、なんだかトンデモナイことになってしまい、いきなりレべル一○三のリザードンになってしまった! が、次の瞬間、データがぶっ壊れちゃって、コントロール不能となり、えらい目に遭ってしまった!
 というのは一昨日のことだが、まあ、それはさておき、こんだけの話で意味がわかった人は、この先を読む必要はありません。わからなかった人だけ読んで下さいね。
 さて。
 冒頭の話題は何のことかといいますと、ちょいと前から小学生の間で大流行し、いま、ジワジワと大人の方にも浸透しつつある「ポケモン」の話なのである。で、「ポケモン」とは何かというと、携帯用ゲームボーイのソフトなのだ。
 この四月からはテレビでもアニメ化され、間もなくブームの絶頂を迎えるであろうこのゲーム、知人の勧めで試したら実に面白かったのである。
 ゲームの概要は、一見すると「ドラクエ」などと同じタイプのいわゆるRPG(ロール・プレイング・ゲーム)なのだが、実のところ、その面白さの中心は他のところにある。このゲームの目的は、単にクリアするだけではなく、旅の途中で出合うポケット・モンスターを捕獲し、育て、図鑑を作っていくことにある。だがソフトには、赤、緑、青の三つのバージョンがあり、それぞれに内容が少しずつ違うから、友達とモンス夕ーを交換する必要に迫られるのだ。ソフ卜を交換するのではない。ケーブルを接続し、ホントにモンス夕ーを交換するのである。
 そう、このゲームの面白さはコミュニケーションにあるのだ。ゲームは一人遊びだから教育上よろしくない、というのは昔の話。「マリオカート64」もそうだけど、今やゲームは立派なコミュニケーションの道具なんである。やっぱり、人間相手が一番面白いからね。 
西日本新聞1997.04.20