コドモの切り札

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先生と呼べる人

甲木善久
           
         
         
         
         
         
         
         
    
 こんにちは! 小・中学校時代の怒りが蘇って、先週、思わず本の話をすっ飛ばしたカツキです。
 いやー、子供の頃に覚えたことは忘れないっていいますが、知識だけじゃなくて、感情の方も強烈に覚えているもんですね。憲法と、子供の人権と、義務教育について書こうと考えていたら、一九六○年代末から七○年代後半の、筑後地区のあり小・中学校における子供の基本的人権を踏みにじった状況を、ものすごく克明に思い出しましたもの。ハハハハハ。
 今、これをお読み下さっている現役教師の皆さん。あなたが、もし、ズルやインチキをしたならば、子供はキッチリそれを覚えていますからね! というわけで、こうした言葉に反応して下さった、まだまだ脈のある方にお薦めなのが、名取弘文著卜センの脱学校びっくり授業』(国土社)という本である。これは、子供の「教育を受ける権利」を守り実現させる義務を負う大人なら、とにかく一度は手に取ってほしい、必見の本だ。
 著者の名取さんは、藤沢市立鵠沼小学校で家庭科専科を受け持つ先生である。テレビ出演なども時折されるからご存知の方もあると思うが、教師にありがちの偏狭な価値観は一切感じられない人なのだ。家庭科は女の子のものといった性的役割の枠組みも、学校という枠組みも、彼は軽々と越えている。
 学校には「ほんとうは校舎も校庭もいらないんです。教師もいりません」なんて、平気でいえてしまう教師が何人いるか?また、「『お願いします』『有難うございます』は教師がいうべきです。子どもたちが学校に来てくれるから授業は成り立つ。子どもはお客さまです」という本質に気づいているのは?
 これを読んで自らの姿勢を考え直してくれる教師が増えるとイイなァ。なにより、子供たちが幸せだし、もちろん親だって払った税金で雇った甲斐があるってもんですよ。
西日本新聞1997.07.06