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景山民夫さんが逝ってしまった…。 彼の作品の愛読者である僕としては、ひどくショッキングなニュースだった。 しかも、先週このコラムでお名前に触れ、今週分の原稿ではもう少し作品ついて書こうかな、と思っていた矢先の訃報である。こんな形で、景山さんの作品について書くことになろうとは…。 景山民夫さんは、本物の作家だった。人間の愚かさを知り、それでも愛し、悩み傷つきながら生きていることの「本当」を探し求めていた。その真摯な作家魂が、どんな作品の裏側にも潜んでいた。『遠い海からきたCOO』『虎口からの脱出』『ボルネオホテル』「トラブル・バスター」シリーズなどの小説では、サービス精神たっぷりに読者を気持ち良くだましてくれた。『ONE FINE MESS―世間はスラッブスティック―』『だから何なんだ』『つまり何なんだ』『極楽TV』『LIFE IS A CARNIVAL―極楽なんでも相談室―』などのエッセー、コラムでは、まじめ半分おふざけ半分で、旅とか時代とか社会とかメディアとかを切り取って見せてくれた。また、『どんな人生にも雨の日はある』『ハックルリー・フレンズ』では、励ましたり、叱ったりしながら、若い者に真剣に語りかけていた。そして、『スターティング・オーバー』では、生々しい人間としての彼が感じられた。 でも、もっともっと読みたかったよ。 「鳩よ!」に連載中の『サマーキャンプ』が絶筆になってしまった。きっと『COO』みたいにステキな児童文学になると思ってたのに。単行本になるのを楽しみにしていたのに。 惜しい作家を亡くしてしまった。 今はただ、心からご冥福をお祈りしたい。景山民夫のバカぁ、何でこんなに早く逝っちゃったんだよぉ…。
西日本新聞98/02/01
テキストファイル化妹尾良子
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