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「くれよんのくろくん」 使われなくて退屈している新品のくれよんが、ある日、箱から飛び出して画用紙の上で大はしゃぎ。花を描いたり木を描いたり…、でも、くろくんだけは仲間に入れてもらえません。絵本を読み終わったあと、くれよんを手に持って自分も描いてみたくなる、やわらかな線の絵本です。 (なかやみわ さく・え/童心社、本体1200円) 「ポケットタイガー」 胸がしーんとして思わず泣きたくなるときは、ありさはポケットに手を突っ込こむ。そして、こぶしを握り、誰にも見えない味方ポケットタイガーをつくるんだ。一人ぼっちにされることの多い少女が、張りつめた心を抱えながらも背筋を伸ばして生きていく秀逸な児童文学である。 (長崎夏海作、佐藤真紀子絵/佼成出版社、本体1100円) 「灰かぶり」 もはや今さら説明するまでもないグリム童話のシンデレラのお話が、詩人の織り上げる凛とした言葉と、硬く切なく艶やかな絵を得て、これまでにない絵本になった。この作品には昔話本来の美しく残酷な気配が濃厚に漂っている。シンデレラ絵本の、ある頂点を見た気がした。 (矢川澄子再話、宇野亞喜良絵/教育画劇、本体1500円) 「サラシナ」 「更級日記」中の竹芝伝説に材を得たこの作品は、古代日本を舞台とした大らかなファンタジーである。けれど物語はいたってシンプル。満たされない日常を送る現代の少女がタイムスリップして、健やかな男と恋に落ちる。ただ、それだけ。でも、そのただそれだけが実にいい! (芝田勝茂作、佐竹美保絵/あかね書房、本体1400円) 「ポール」 今、ナツコの家には預けられた老犬ポールがいる。あまり元気じゃないポールの様子に少しだけ不満のナツコは、しかし、毎日かいがいしく世話をしている。コマ割りを使い、ナツコの目線とポールの目線を織り交ぜつつ、夏の日の空気すらも描き込んだ映画のような絵本である。 (岡本順 作/佼成出版社、本体1500円) 「王女さまは4時におみえになる」 読み終わった後、どうしてだろう、なんでだろう?と気になる本が時々ある。実はこの絵本もそうなのだ!くさくて汚いハイエナに動物園で出会った少年が、なぜ彼女を受け入れるのか読んでいてもちっとも判らない。でも、二人の愛が純粋なことだけは判るのだ。なんて不思議な絵本。 (ヴォルフディートリヒ・シュヌレ文、ロートラウト・ズザンネ・ベルナー絵、ひらのきょうこ訳/偕成社、本体1300円) |
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