アンモナイトの谷

バーリー・ドハティ

中川千尋訳 新潮社

           
         
         
         
         
         
         
         
    
 ジェームズは養子。本当の親を知りません。でも今の両親に不満はありませんし、彼らは養子であることを隠していません。飛び込みでオリンピックを目指しているジェームズを両親は支援してくれているし、父親ときたら、ジェームズ以上に力の入れようです。しかし父親の熱心さにはちょっとうんざり。
 ある日、あまりの熱心さで、一緒に練習をしていた友人が怪我をするはめに。そんな折り、両親の引き出しにしまわれている、自分が貰われてきたときの服(赤ちゃんのですね)の下からジェームズは、封筒の切れ端を発見。そこには、住所の断片と「サミーをおねがい」の文字。サミーって?自分のこと?これがぼくの本当の名前?
 両親に嘘をいって、ジェームスは本当の母親を探しに旅立つ。サミーの母親に会いに。彼の中では母親像がどんどん広がっていく。果たして…。
 ジェームズの母親が彼を産み、そして捨てるに至ったころのモノローグが、時々挿入されながら、進む物語。養子の自分探しって設定はありそなものですが、それを読ませてしまうのはさすがドハティ。(ひこ・田中

メールマガジン児童文学評論 1998/02/25