明日のまほうつかい

パトリシア・マクラクラン・作 キャシー・ジャコビ・絵
金原瑞人・訳 福武書店 1982/1989

           
         
         
         
         
         
         
    
    
    
 「明日のまほうつかい」という変な名前の魔法使いは、イライラして向かっ腹を立てています。それは、「大まほうつかい」が見習いのマードックを送り付けて来たからです。マードックは、陽気で変に人間らしく、時々、魔法使いだということを忘れてしまう、困ったヤツです。
 「明日のまほうつかい」とマードックは、木の上に座って世界中からの願い事に耳を澄ませています。二人が気に入った願い事は、かなえてやるのです。
 地主が馬に荷物をたくさん載せ、その上、自分も乗ってやって来ました。転んだ馬に腹を立て「ロバの方が、ずっといい」と言ったとたん、地主の願い通り、二人の魔法使いは馬とロバとを取り換えてしまいます。
 この馬は賢くて哲学的で、二人のよい仲間になります。二人と一頭は「あくまのようにいやみで、うらみがましくえこじで、おこりっぽい」あいうえおじいさんには、正反対のとっても素晴らしい女の子を送りますし、「かんぺきなバイオリン」では完ぺきを求め過ぎて、いつも不幸なバイオリンづくりをハッピーにします。
 個性豊かな登場人物たちの願い事を、昔話とは違った解決法で、かなえてあげます。どのお話しにも、根底に人間の優しさと多面性を、明るく肯定しています。挿絵もユニークです。小学低学年から。   (静岡子どもの本を読む会)
テキストファイル化佐藤佳世