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狭い家に住んでいると、本が邪魔に思えてしかたないことがよくある。特に都会で暮らしていると、大きな図書館がそばにあって、家にはブックリストと、お気にいりの本が数十冊という環境が最高なんだけどと、いつも考えるのだが、大きな図書館も、いいブックリストも少ない日本では、めぼしい本をせっせと買う以外になさそうだ、などと、ぶつぶついっていたら、絵本と児童文学にかんして、なかなかいい本が出た。 それぞれはじめに「絵本論入門」「絵本の歴史」、「児童文学入門」「児童文学の歴史」という、よくまとまった概論があるのだが、この二冊の特色はテーマ別にまとめた作品紹介にある。絵本のほうでは「色と形のドラマ」「おやすみなさい 子どもたち」「写真絵本」といったテーマ五〇にそって約三五〇点が紹介されているし、児童文学のほうでは「時をかける子どもたち」「動物と冒険者たち」「創作民話の世界」といったテーマ五一にそって約二〇〇点が紹介されている。どれもこむずかしい絵本論とか児童文学論とかにおちいることなく、紹介に徹しているのがいいし、年表も索引もかなりくわしい。 若者や一般の大人までが絵本や児童文学に目を向けだし、大学でも数多くの児童文学講座が開かれている今日、便利なブックリストがでたことはおおいに喜んでいいと思う。(金原瑞人)
朝日新聞 ヤングアダルト招待席 1988/07/24
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