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『エロイーズ』はちょっとばっかり奇妙な本です。といってもオカルトってわけじゃないよ。でもね、親たちには、特にお母さんたちにはウケないだろうなあ、と思うの。子どもたちはたぶん熱狂してくれるだろうと思うんだけどね。 エロイーズはただ今六才、ニューヨークの超一流ホテルの最上階のスイートルームに住んでいます。ようするに超大金持ちの子どもなの。一緒にいるのはナニー(乳母)とペットのカメ。お母さんはしょっちゅうパリだ、ロンドンだ、と忙しく、エロイーズはめったに会えません。 でも平気なの ! エロイーズはそのホテルの名物の、こまっしゃくれたおしゃまさん。 いたずら電話はするわ、エレベ−ターで遊ぶわ、廊下はドタバタはねまわるは・・・・・・で、ホテルとしたら困ったお客さんのはずなんですが・・・・・・。みんな大人なのよねぇ、このホテルの人たちって___。 一人一人がきちんとエロイーズを受け止めてくれていて、ようするにホテル全体でエロイーズを育ててくれているわけよ。でもってホテル方も、エロイーズがいるおかげで、きっちりひとつにまとまっている、みたいな__。 ゛いくらお金があってもねぇ、あんな育ち方じゃかわいそう・・・ ねたみついでの陰口だって、時にはエロイーズの耳に入るでしょう。それがわからないほどこの子はバカじゃないわけで、一見お気楽そうにみえるこの暮らしも、実はエロイーズの負けん気と必死のがんばりで、できあがっているわけです。子どもたちはその生命力を感じとって、彼女に拍手喝采を贈るでしょう。 大人の方にも、エロイーズに拍手を贈れるだけの洞察力が残っていることを祈ります。(赤木かん子) テキストファイル化佐藤美惠子 |
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