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「昔ばなしを読んでもらいたいなぁ」とか「読みたいなぁ」と思ったら、この本をおすすめします。イギリスの昔話が二十二編とアイルランドのものが八編入っています。イギリスでは絵本になってだれでも知っている「三びきの子ブタ」や「ジャックとマメの木」があります。 でも、どうしても絵本には向かない昔ばなしもたくさんあります。その一つが「ちいちゃい、ちいちゃい」というお話です。このお話は子どもたちが好きな話で、よくお話会で語られます。 怖いけれども聴きたい話で「むかし、ひとりのちいちゃい、ちいちゃいおばあさんが、ちいちゃい、ちいちゃい村の、ちいちゃい、ちいちゃい家に住んでいました」で始まります。目で読んだら読みにくいお話ですが、声を出して読んでもらうと、この「ちいちゃい、ちいちゃい」という言葉が耳に快く感じられ、だんだん怖くなるお話です。 昔ばなしは聴く文学だということが、この本を読んでよく分かります。『ふしぎなお客』も詩のような形式をとっていて、怖さを楽しむお話です。アイルランドの昔ばなしの中には妖精(ようせい)が活躍して不思議な雰囲気の『グリーシ』『ノックグラフトンの昔話』などがあります。 この本のお話はどれも柔軟で自由な精神の感じられる変化に富んだ楽しい作品が詰まっています。文章も口当たりが良く繰り返し声を出して楽しむ本です。福音館書店。(小)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化大塚菜生
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