いろがみのうた・詩
色のイメージを詩う

野呂 昶・詩 とだこうしろう・色
戸田デザイン研究室

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 「色」の名前は、いくつあるか知っていますか。本当は、無数にあります。もちろん、色名帖(ちょう)に定められた色の名もあります。でも、人間の思いが型にはめられないように、そして「色」からわき起こる気持ちに限りがないように、色の名前にも、限りがないのです。だから…… むぎばたけを わたる かぜ/おかあさんの エプロン/はっぱの うえの つゆたま/そらのにじ/わたしは そのひとつひとつを/いろがみの なかに しまう/あふれでないよう/きをつけて…… と、詩人はうたうのです。
 変形の真っ四角の絵本。右側のページは、ひとつの色だけで塗られた無地。左側に、その色をうたった詩のページ。全部で二十二の色を取り上げているこの本は、もうそのままが詩です。
 ○あか あかは あさひのいろ/ゆうひのいろ/わたしのからだを ながれる/いのちのいろ ○こげちゃいろ すきっぷ じゃんぷ/だいちをけって ○ひまわりいろ りんりん まわる たいよう/りんりん まわる/ひまわり/りんりん かがやく たいよう/りんりん かがやく ひまわり
 色のページも、きっちりデザインされています。それ以上に、詩のリズムがしっかりしています。ページを開くたびに、色とことばから響いて来るものが、読者の中に、思いをあふれ出させてくれるでしょう。子供さんをひざの上に乗せて一緒に読めば、とても楽しいでしょう。
 
(仁)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化岡田和子