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ボーゲルは、幼年文学の中でも、いわゆる〃純文学〃タイプを書く人です。 見るからに繊細でナイーブで、内面的で、ひと口に言えば高尚なのです。 したがって、子どもの本の好きな大人たちは「素晴らしい!」と絶賛するでしょうか、ふつうの子どもたちにはまずウケないでしょう。 もちろん数ある子どもの中には、心からクラシックが好き、という子だっているでしょうが、大多数の子どもは「鬼のパンツ」の大合唱のほうが好みだと思います。 もちろん両方ともこよなく愛する人もいます。 どっちも尊重されなくてはなりません。 そういうボーゲルの中で、これは比較的大勢の子どもにウケるかな、というのかこの『おばあちゃんがいるから』-今日は理由はわからないけどなぜか悲しいの、というようなナイーブな小さな女の子と、それを怒りもせずに片腕てだっこしなから、無理な姿勢のままリンゴの皮をむいてくれる(そのリンゴはアップルパイになるんだけど)完全な大人…包容力、観察力、洞察力バッグンのおばあちゃんとの、事件ともいえない小さな出来事をつづった短編集です。 でも、おそらく読んでもらわないとムリ…・五、六歳からいいでしょう。 子どもには複雑な感情はわからない、というのはウソですから……でも自力で読んで凄い!と思うのは、やはり中学・高校生、大人でしょう。(赤木かん子)
『かんこのミニミニ ヤング・アダルト入門 図書館員のカキノタネ パート1』
(リブリオ出版 1997/09/20) |
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