おかあさんになったりすのちび

河本祥子:作
福武書店

           
         
         
         
         
         
         
    
    

 自分の家の庭にリスが住んでいたら、すてきだと思いませんか。
 この本はアメリカのポートワシントンに住む、日本人一家の庭に暮らしているリスたちのおはなしです。ものがたりというより、観察日記といった方が適当かもしれません。
 春におかあさんリスは五匹の子リスを産みます。短い間に二度の引っ越しをしながら子育てをし、初夏に子リスたちは巣立っていきます。
 そこから子リスの「ちび」が親元を離れて、ひとり立ちをしていく物語が始まります。犬に追いかけられたり、あらしにあったり、あぶない目に何度もあいます。
 秋には冬支度で大忙しです。食べ物をたくわえ、冬ごもりの巣を探しまわります。
 という具合に、ちびが一年の間に様々な経験をしながら成長してゆく姿が、美しい自然とともに生き生きと描かれています。
 「ぼくの家もこんなすてきな所にあるといいな」。なんて言う子どものつぶやきが聞こえてきそうな一冊です。(根)=静岡子どもの本を読む会
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