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むかしの映画「アメリカン・グラフティ」もそうだったけど、18歳のときには、一夜明けると人生ガラリと変わってしまうような出来事が起こりうる。ニュージーランドの高校生が主人公の『贈りものは宇宙のカタログ』(青木由紀子訳、岩波書店・2100円)も、そうした青春期の変容のドラマだ。 父親を見つけだし、自分が生まれたいきさつを知ろうとするアンジェラ。家族の中であまりにウェートの低い自分に悩むティコは、アンジェラにあこがれてはいるが、手がとどかない存在だとあきらめている。恋人同士ではない二人の共通の話題は、科学者であり詩人だった古代ギリシャの自然科学者たちだ。 「原子と空間以外何も存在せず」というデモクリトスの言葉のように、孤独と平安の中にいた二人に、たった3日間に次々に起こるアクシデント。世界と自分の関係をうちたてるためのたたかいの末に、二人は互いに成長し変容をとげる。サスペンスにみちたタッチ。結末はすっきりと気持ちがよい。(芹沢清実)
朝日新聞 ヤングアダルト招待席 92,07,19
テキストファイル化 妹尾良子
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