女の子はサンタクロースになれないの?

エルフイー・ドネリ
遠山明子・訳
国土社

           
         
         
         
         
         
         
     
 クリスマス本を紹介するにはまだ少し早すぎるかな、とも思ったんだけど、あんまりすてきな本をみつけたんで、ちょっと早めのプレゼント。
 『女の子はサンタクロースになれないの?』のサンタクロース一家には、ウィリーという男の子と、ウィルマという女の子がいます。二人はいとこ同士。で、サンタクロース家では男の子は十歳になるとサンタクロース見習になるんだけど、いかんせん、ウィリーはサンタクロースなんかにはなりたくない。で、ウィルマはサンタクロースにむいている。だけど、現役サンタのウィルマのお父さんは、サンタは男に決まっている、といって認めてくれないの。
 怒った二人は顔がそっくりなのをいいことに、すりかわり作戦を実行します。
 もちろんこれにはおじいちゃん(もとサンタね)をはじめ家中の協力があるんだけど、その一人一人のセリフがね、もう息をのむほどピタッ、ピタッ、とはまってんのよ!
 たとえば首尾よく見習サンタの仕事をやってのけたウィルマにお父さんは「みごとなはたらきをした。よってサンタクロースに任命する」っていうんだけど、でウィルマ自身は、やった! と思うんだけど、おじいちゃんは首ふっていうのね。「なんで女の子はまず証明してみせなきゃならんのかな、おまえ?」
 ここまでピシッとおさえられる人って、なかなかいないよっ。(赤木かん子)
『赤木かん子のヤングアダルト・ブックガイド』(レターボックス社 1993/03/10)
朝日新聞1990/11/11