オンネリとアンネリのおうち

マリヤッタ・クレンニエミ:文
渡部 翠:訳 大日本図書

           
         
         
         
         
         
         
    
    

 雨が降って気持ちが沈んだ日に、フィンランドの作家が書いたこの本を読むと、いつの間にか元気が出てきます。
 アンネリちゃんは両親が別居中で、お互いに自分の仕事にかまけて心をかけてもらえない女の子。オンネリちゃんは九人きょうだいの真ん中で、いつもなんとなく一人ぼっちの女の子。二人は入学式の日に校庭で知り合い、大の仲良しになります。
 夏休みに二人は、ひょんなことから、バラの木夫人からすばらしい家を買います。
その家はなにもかも、二人の女の子のために作られています。台所は美しく、机と二つの赤いいす、電子レンジに調理台、冷蔵庫、花模様の食器、戸棚には食べ物がびっしり詰まっています。
 ほかのどの部屋も、二人の女の子が気持ちよく生活できる品々が整っています。まるで夢のような家です。
 二人がこの家で暮らし始めたら、奇妙なお隣さんが訪ねてきたり、大事件が起きたりします。最後まで、女の子のあこがれる生活が、きちんと描かれています。
(亮)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化山本京子