おやすみなさいフランシス

ラッセル・ホーバン/文
ガース・ウイリアムズ/絵
まつおかきょうこ/訳 福音館書店

           
         
         
         
         
         
         
     
 これは典型的な〃ねむれない、ねむれない〃絵本です。
 可愛いあらいぐま(?)の女の子、フランシスは五才くらいかしらん?
「私の部屋に大男がいる……」
「天井のひびからなにか入ってくるわ……」
 なんのかんのとお父さんぐまにいいにきて、なかなか寝ようとしません。
 でもさ、このお父さんぐまって、偉いっ!
「そうかい? じゃあ、大男になんの用だかきいておいで……」
「じゃ、おまえは歯をみがいておいで、お父さんがみてきてあげるから……」
 イラついて怒鳴ったリせずに、きちんと受け答えしてくれるの。
 でもってフランシスだって、自分がなにしてるのかぐらい、よ〜くわかっているわけよ。
 いますぐべッドにいかないとどうなるかわかるかい? というお父さんの質問に、ちゃ〜んと自分で、
「おしり、ぶたれる?」って返事できるんだものね。
 甘える子どもに「うるさい、さっさと寝なさい!」って怒ったりせずに、きちんと応えていくこのお父さんぐまって……うん、どうしてどうして、なかなかの男だよ。
 声に出してよんでいくと三○分近くかかリますが、なんとなく淋しくて少し長くかまってもらいたい時には、子どもは長い本を持ってくるものです。
 どうぞ、いやがらずによんであげてください。(赤木かん子)
『絵本・子どもの本 総解説』(第二版 自由国民社 1997/01/20)