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これは典型的な〃ねむれない、ねむれない〃絵本です。 可愛いあらいぐま(?)の女の子、フランシスは五才くらいかしらん? 「私の部屋に大男がいる……」 「天井のひびからなにか入ってくるわ……」 なんのかんのとお父さんぐまにいいにきて、なかなか寝ようとしません。 でもさ、このお父さんぐまって、偉いっ! 「そうかい? じゃあ、大男になんの用だかきいておいで……」 「じゃ、おまえは歯をみがいておいで、お父さんがみてきてあげるから……」 イラついて怒鳴ったリせずに、きちんと受け答えしてくれるの。 でもってフランシスだって、自分がなにしてるのかぐらい、よ〜くわかっているわけよ。 いますぐべッドにいかないとどうなるかわかるかい? というお父さんの質問に、ちゃ〜んと自分で、 「おしり、ぶたれる?」って返事できるんだものね。 甘える子どもに「うるさい、さっさと寝なさい!」って怒ったりせずに、きちんと応えていくこのお父さんぐまって……うん、どうしてどうして、なかなかの男だよ。 声に出してよんでいくと三○分近くかかリますが、なんとなく淋しくて少し長くかまってもらいたい時には、子どもは長い本を持ってくるものです。 どうぞ、いやがらずによんであげてください。(赤木かん子)
『絵本・子どもの本 総解説』(第二版 自由国民社 1997/01/20)
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