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今日では、化石というと価値あるものと思われていますが、昔はその価値に気づく人はごくわずかでした。そんな時代、十一歳のメアリーは、海岸でアンモナイトやウミユリなどの化石を集めては、「石の動物」として安く売って、貧しい家計を助けていました。 今から百八十年も前のイギリスのライム・リージスの町での話です。 嵐(あらし)が去った後の海岸の土砂の山は、メアリーにとっては宝の山。化石が面白いほど埋まっているのです。 打ち寄せる海水は、ある時は化石を送り届け、またある時はたいせつな化石を運び去ります。海のにおいをかぎながら、海辺の宝さがしに明け暮れるメアリーの十一、二歳の日々を、まるでタイムマシンでその時代にもどったように、生き生きと描写しています。 メアリー・アニングは、魚竜イクチオサウルスをはじめ数々の貴重な化石の発見者として、その名を残しました。化石採集をはじめたころの彼女の胸の高鳴りがじかに伝わってくる本です。(池)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化古賀ひろ子
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