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一九七○年代、ヨーロッパ文化系の児童文学は、のきなみ離婚と女性の自立、家族の再生をテーマにしていました。 それがね、時がたつにつれて、男性も自立しなくちゃ、とか、老人モンダイとか、だんだん広がっていって(そうなのよ! 老人モンダイというのは、いまは児童文学の大きなテーマのひとつになっています)そのなかのひとつに〃死〃というのがあるのよね。 それでひとくちに〃死〃といっても、一番最初はおじいちゃんやおばあちゃんが死ぬ話から始まって、最近は親が死ぬ、そのショックだとか、「友だちのママが死ぬってわかったの、私、どうしてあげればいいの?」とかずいぶん広がってきてるんだよね。 この「海がきこえる」は、ふたごの兄のマックスが死ぬとわかった十歳の女の子の話です。 死ということがのみこめない子どもは、親がボーゼンとして悲しみにくれているのとは別の感じ方、をするものなのよね。 作者はなんと二十六歳、もともとは小学校の教員資格試験に提出するために書かれたものだそうです。それでこのでき! う、うらやましい…。(赤木かん子)
『赤木かん子のヤングアダルト・ブックガイド』(レターボックス社 1993/03/10)
朝日新聞1988/09/18
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