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アイルランドの女流作家メリングの『妖精王の月』に続く、本格的ファンタジー。![]() ここから、物語は女魔術師となったケイのアエーンを連れての宝探しの旅となるわけだが、二人の旅には、ドルイドたちの夢見の技によって裏切り者ときめつけられたダナーン族の次代の女王エリウや、エリウ暗殺の使命をおびた枝角をもつ巨人、海から侵略を企てるゲーディル族とフィルボルク族、ケイやアエーンの恋、加えてアエーンの正体の謎など、様々な事件や神話の登場人物に彩られ、トゥアンの織る「タペストリー」はさながら極彩色のようである。 物語の見所は、滅亡の定めにあるダナーン族の運命と、それをどうやって四つの宝が救うのかである。旅の途中でケイは何度も、宝を探しても無駄ではないかと考える。しかし、ついに宝が四つともみつかり、問題のエリウが女王の座につき、ゲーディル族の侵略に対し平和的に降伏を選んだとき、「石」が歌いダナーン族は再び神々として認められるのである。敗北が勝利へ変わるのだ。ここで神話の世界が一気に広がりを見せる。最後に明かされる、エリウの娘であったというケイのルーツも、意外だが納得いくものである。(森恵子)
図書新聞 1996年2月24日
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