宇宙のはじまり

アイザック・アシモフ・著
大林辰蔵・監修 小原隆博・訳 福武書店

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 宇宙は大きいというけれど、どんなに大きいのだろう。どんなふうにはじまったのか。このように宇宙に思いをはせる子に向けて、宇宙の本は数多く出版されています。しかし、今回、小学高学年くらいから読めそうな宇宙の本を十数冊読んでみて、初心者がはじめて出合って、くじけずに読み通せる本が案外少ないのに驚きました。
 テーマ自体のむずかしさもありますが、多くの本は内容が盛りだくさんです。そのために知識ばかりが入ってきて、想像する楽しさ、ゆとりがなくなってしまうのです。
 その点、この本は、思い切って、重要な話だけにしぼった構成のせいか、最後まで読者の興味を引っ張っていってくれます。
 わずか三十nの本ですが、美しい図版と写真をたっぷり使いながらも、簡潔なことばで、宇宙の大きさ、はじまり、そして将来を想像させてくれます。
 今までばく然としていた宇宙の姿が、かなりくっきりと見えてくる本です。さらに興味がわいてきたら、同シリーズ(8)「宇宙の新しい発見」を読んでみて下さい。テーマを、クエーサー、パルサー、ブラックホールにしぼって書いてあります。そしてそれだけでは物足りなくなったら、「宇宙のなぞ」(草下英明著、ポプラ社)をひらいてみて下さい。少しむずかしいかもしれませんが、掘り下げて書いてあります。
(池)=静岡こどもの本を読む会
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