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ネズミは、昔話や童話の中では大活躍していますが、生きたネズミとなると、たちまち悪者か、動物実験の対象という扱いを受けています。ネズミといっても、その種類は一千種をこえ、そのほとんどは人間の目にふれにくい自然の中で、独自の生活を展開しています。 この本は、森に棲むヒメネズミの子の成長と暮しを描いた科学絵本です。ふしぎな力をもつ本で、見ていると、自分が一匹のネズミになって森を駆け、落ち葉で寝床をつくり、ドングリをためている気分になってきます。 私の息子が五歳の時、この本がきっかけで、山にネズミ探しに出かけました。まるで物語の主人公をあこがれるように、森に棲むネズミに会いたがりました。 幼い子をそのように駆りたてたこの本の魅力は、いったい何なのでしょう? ヒメネズミをこよなく愛する動物学者と、動物画の第一人者である画家がピッタリと息を合わせて生みおとした絵本だから、森のにおいがし、ヒメネズミが生き生きとしているのかもしれません。 (池)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化富田真珠子
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