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これは別世界ファンタジーです。その世界では、魔法使いが呪文(じゅもん)で風をおこし、鳥に姿を変えます。そして海のかなたには竜が住んでいるのです。 主人公ゲドは、野性の少年として登場し、やがて偉大な魔法使いになります。第二・三巻でゲドが大人になると、それぞれ十代の副主人公が登場するので、この三冊は十代を主人公にした青春文学といっていいでしょう。十代のかかえるいろいろな問題が、凝縮され象徴化され、たいへん鮮やかなドラマとなって描かれています。 今年、十数年ぶりに刊行された第四巻は少し違っていて、輝かしい青春の神話から中年という日常へ、いかに帰還するかの道筋を探っています。ファンタジーは「行って帰ってくる物語」だという定義が、そのままあてはまる結末です。 高校生にぜひ読んでほしい作品ですが、第四巻はやっぱりもう少し年をとってからでしょう。 第一巻は「影との戦い」、第二巻「こわれた腕輪」、第三巻「さいはての島へ」、第四巻「帰還」です。
(岡)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化山本京子 |
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