ごきげんなすてご

いとうひろし/作 
徳間書店

           
         
         
         
         
         
         
         
    
 これは保障つき! いま一番のってる描き手の一人、いとうひろしの『ごきげんなすてご』です。
 三ヶ月前にお猿のような顔をした弟がやってきて以来、機嫌の悪い女の子……。
 ついに〃すてご〃になって、もっといいうち、特にお猿の弟なんかいなくて、自分だけをかわいがってくれるうちを探す決心をします。
 でさ、まァここらへんが現代っ子ね〜なんだけど、この子ってプライド高くてさ、淋しい場所でなくっちゃ、といいつつ、ゴミ捨て場のそばはあんまりよね、だったり、やっぱり捨て子はダンボール箱に入ってなくちゃ、でダンボールを探してくるんだけど、そこに書くキャッチコピ-は〃かわいいすてご〃だったりするんだからね。
 そのうち犬や猫やかめや、すてご仲間もできるんだけど、み〜んなもらわれていっちゃって女の子一人だけ残っちゃうの。
 で、もう限界かな〜という時に、弟を連れたお父さんとお母さんがやってきて「お猿の弟のお姉さんになってくれる人を探しているんです」というにくいセリフを吐くんですねえ〜。
 みごと、みごと!
 いまの日本にこれだけのセリフをいえる大人がどれだけいるかな〜、いって欲しいな〜。
 幼年向きの本のはず、ですが、中学生、高校生にもウケてます。もしかしたら、大人にもウケるかもしれません。みんなみんな、いいおうちに拾われるといいね。
 最初、べネッセコーポレーションから出版されましたが、いまは徳間書店から出ています。(赤木かん子)
『絵本・子どもの本 総解説』(第二版 自由国民社 1997/01/20)