かばくんのふね

岸田衿子:作 中谷千代子:絵
福音館書店

           
         
         
         
         
         
         
    
    

 動物園の空に雲が広がり、やがて雨が降り出します。
 どうぶつえんに あめがふる こまかい こまかい あめがふる。
 ぽとん ぽと ぽと ぽと
 ぽと ぽと ぽと ぽと
 どうぶつえんに あめがふる 雨が続いて動物園が洪水になりました。
 こうずい こうずい 「のせて のせて かばくん」
 ちいさい どうぶつは もっと ちいさい こどもを つれてきた。
 「みんな のせてよ かばくん」
 カバの背中にカンガルーやキリンの赤ちゃんと一緒に、小さい動物たちをわんさか乗せて、カバくんの舟が大活躍するお話です。
 赤い表紙いっぱいにカバの親子が描かれた「かばくん」の本と一緒に、この本をなつかしく覚えている方もいらっしゃることでしょう。
 この本が初めて「こどものとも」のシリーズの中の一冊として出版されたのが1964年ですから、もう25年にもなります。どこかユーモラスで気のいいカバくんは、いまもこどもたちの人気者です。
 今年ハードカバーとなって「こどものとも」傑作集のなかに再登場しました。
 ゆったりとしたお話の展開の見事さとともに、描かれた動物たちの表情がとても豊かです。あたたかいぬくもりが伝わってくる絵本です。「かばくん」の本もあわせてぜひ楽しんで下さい。
(天)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化中島千尋