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これは、とてもヘンな話なの。 −−ちかごろ、あたまがいたくて、かゆくて、おもたい「ぼく」が、「おいしゃさんに みて もらったらいいかも しれない」って歩いていたら、とちゅうで猫につまずいて、あたまから、なにかがポニョンととびだしてしまうのよ。そしたら、あおひげのおいしゃさんは、「ぼく」のあたまに手をつっこんだりして、けっきょく、あたらしいなかみを入れてくれるんだけど、それから、ヘンなことがおきるようになっちゃった。 うみにいったら、あたまから、さかなやタコが出てくるし、火山のまえでは、あたまがフンカする。それで、「ぼく」は、あたまをかぼちゃにしてみるの −− 長新太さんの推薦がついている絵本だけあって、どんな絵本か、まとめて言うのはこんなんです。 でも、おもしろい。読んでくうちに、あたまがアヤシクなってきて、エヘヘアハハの気持ちになります。 どの画面も、絵がだいたんです。山からたちのぼる輪っかのけむりがいいかんじ。いつだって、無表情な「ぼく」の顔もブキミです。そのくせ、他のわき役たちは、どいつもこいつも目つきがみょーなの。うらの畑のおヤサイも、おいしそう。なかでも、かぼちゃは中身がぎっちりつまってそうで煮込みにしたいくらいです。塗って塗って、塗りこんだ、きょうれつな絵のちからかしら。(甲木善久)
産経新聞 1996/12/20
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