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一面のダイコン畑で、収穫する人たち。ダイコンの根元にちょんちょんとクワを入れて、葉っぱの根元ををしっかり握る。お腹に力を込めて思いっきり引っ張る。体中が汗びっしょりの「かな」とおばあちゃんは、太いダイコンを引き抜きます。 とれたダイコンを二人して洗います。このダイコンを組んで、太い竹を渡した「おだ」に四本ずつ束ねて干します。四十日ほど干して、だらんとしてきたところで、「米ぬか五升に塩三升アホイ」の掛け声とともに大だるに漬け込みます。 かなの家では、毎年こうしてみんなで「たくあん」を漬け続けています。おだいっぱいに並んだ真っ白いダイコン、何人もの人で放射状に漬け込まれていくダイコン、おもしをされた大きなたる。とにかく場面ごとの構図が実にダイナミックで、その迫力に圧倒されてしまいます。 地味なたくあん漬けという素材が、絵そのものの迫力で迫り、独特な雰囲気をかもし出しています。 秋に一家総出で漬け込み、雪が降るころにそのたくあんを一緒に味わうという季節の移り変わりの中で、孫娘を中心とした家族のふれあいが温かく描かれています。 自然と人間との深いかかわりをしみじみと感じさせる絵本です。
(安)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化中島千尋 |
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