カラスのいるゆうびん局

杉みき子:文
津田櫓冬:絵 小峰書店

           
         
         
         
         
         
         
    

 手紙をもらうのはうれしいものです。手紙を書くのはきらい、もらうのは好き、なんて人も多いようですね。みんながポストに入れた手紙を集めて、それぞれに配ってくれるのが郵便局の人たちです。記念切手を買ったり、お年玉を貯金したり、子どもたちにも親しまれている郵便局ですが、屋根から大きな杉の木が生えている郵便局があるのをご存じですか。どこに? 知りたい人はこのお話を……。
 杉の木のあるところに郵便局が建つことになったとき、ふっくら堂パン店のおじさんや、日曜画家の森村さん、町のみんながなんとかこの杉を切らずに郵便局を建てたい、と頭をひねって、やっとできたのです。杉の木をお宿に、いえ、マンションにしているカラスたちもたいそう喜んだそうですよ。郵便局に次々おこる不思議な出来事が楽しい……。
 人間の生活にじゃまだからといって自然を壊したり、動物を追い払うのではなく、一緒に生きていきたいな、という作者の願いがこもっています。地味だけれど温かさに満ちた童話です。(和)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化古賀ひろ子