きみのそばにダニがいる

青木淳一・著
ポプラ社

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 君はダニを知ってるかい? このごろしきりに掃除機やふとん乾燥機のCMでダニを殺すと宣伝してるからその程度には知ってるだろうけれど、でもほんとにダニのこと知ってますか。君はダニをしっかり見たことがありますか。君の家にもダニがいるって知ってますか。この質問には驚かなくても「あなたはダニを食べたことがありますか」と聞かれてはエッとびっくり。日本でダニのすんでいない家などめったになく二、三歳すぎればだれでも何千ぴきものダニを食べ物といっしょに食べているというのです。地球上で名前のあるダニはおよそ五万種。そのなかでけものや人間の血をすう種類はたった一割。すむ場所は人間の周囲からこの“自然”のあらゆるところにです。
 そのうえダニはとってもかわいい。つばさを持ったダニもいるのですから驚きます。かた足の下に千びきもいるという、まるで森の小人たちのようなダニのことを知ると、童話の佐藤さとる『だれも知らない小さな国』のコロポックルや、いぬいとみこ『木かげの家の小人たち』の「フキノトウ」「リンドウ」「スミレ」の小人たちが、じつは実際にいてちゃんと生活しているようにさえおもえてきます。それほどこの本を書いた青木さんはダニが大好きです。だからダニばかりか、鳥もカエルも魚もみんな「ここはすばらしい自然が残ってるよ」「ここは人間がひどい状態にしてるよ」と教えているというのです。そしてなぜダニの研究をはじめたかという話を読むと、なんだか自分の胸がわくわくドキドキしてきて、よし、ぼくも何かみつけてやろうという気持ちでいっぱいになる。そんなとても楽しい本。 
(仁)=静岡子どもの本を読む会
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