こぶたのプーと青いはた

カーラ・スティーブンズ/文 レイニイ・ベネット/絵
代田 昇/訳  童話館出版 2001

           
         
         
         
         
         
         
    
こぶたのプーは、でぶです。従って走ることや運動すること・・・・・・運動会なんかは苦手です。たぶんプーは人間でいえば小学校の一年生か二年生くらいで・・・・・・でもこの本には、がんばればなんとかなる・・・・・・とか、努力することが大事なんだ・・・・・・なーんていうおためごかし、偽善、欺瞞、は一切ありません。
 だから凄いんです。だって小さい子にもわかるように、偽善的ではないストーリーを、試しに自分で書いてみようと思ってごらんなさい───絶句もんでしょう?
 とにかくプーは体育の時間はキライでした。その時は旗とりゲームをやていて、ゲームそのものはおもしろいのですが、ドタドタしか走れないプーには、苦痛だったわけです。
 覚えがあるかたもいっぱい、いらっしゃると思いますけど───。
 でも本当はゲームというのは、下手でもおもしろいはずのものです。
 それにプーだって本当はゲームに参加したかった・・・・・・でも、できないものはつまんない、でしょう? ところが仲良しのラクーンがね、あんたが旗をとってくるのよ、とささやいたんです。このラクーンがいいんだ。お人好しでひっこみじあんのプーが、でも負けたらどうする? というと、平気よ、こんなの、ただの遊びなんだから・・・・・・と平然と答えるのよ。
 で、最終的にプーは勝つんだけどね、私、このプーって好きだな。買ってもうぬぼれたりしないで、いやあ、百万年たったって、もうあんなことはできないよっていう子なんですから。ゲームって、勝っても負けてもおもしろいものなんだよね、心と体が解放されてれば───。
 体育の時間が苦手だった人、現在苦手な人にお薦めします。(赤木かん子 『絵本・子どもの本 総解説第5版』)
テキストファイル化 角田佳代子