子どもの本の森(2)

専任司書がいてこそ学校図書館

           
         
         
         
         
         
         
    
    
    


 私は、公共図書館を退職後、お話のボランティアなどをしながら、図書館に関心を持ち続けてきました。「これからは学校図書館がかぎだ」と感じ、昨年から勉強を続けています。
 子どもの本離れに歯止めをかけるためだけでなく、自ら学ぶ意欲をもって、いろいろなものに主体的にかかわりながら、考え、表現し、行動していく力を育てていくためには、学校図書館こそ不可欠な施設だと思うからです。
 しかし、実際には、ほとんどの学校図書館があまり活用されず、本置き場と化しています。
 学校図書館について、理論的に最も確かだと思ったのは「いま、学校図書館を考えるために――塩見昇講演記録集」です。
 学校図書館が、特別教室の一つなのではなく、学校図書館法という法律によって設置を義務づけられている意義を訴え、読書センターとしての働き(これで十分と錯覚されがちです)より、学習センターとしての働きこそ中核的なものだと説いています。
 これも見落とされがちなことですが、学校図書館は教師にもサービスするものであること、さらに、図書館教育をするのは教師であり、図書館はそのために必要な資料、情報を収集、整理、提供するのが仕事であると知り、目からうろこの落ちる思いがしました。
 具体的な図書館の姿が知りたいなら、「なにかおもしろい本なーい」「学校図書館白書2 図書館で世界、ひろがった!」、ビデオ「本があって、人がいて――学校図書館と子どもたち」がお勧めです。朝から下校時までいつでも使え、公共図書館では当たり前の予約やレファレンスサービス、ブックトークなど多彩な活動が行われています。何より、そこに生き生きと集まってくる子どもたちの姿が印象的です。
 そして、これだけの活動をするためには、専任で専門の司書が絶対必要で、現状のように、担任・教科を兼務している図書の先生にそれを求めるのは無理な話だと痛感しました。
 学校図書館をよくするために、より多くの人に本当の姿を知ってもらいたい。そのための活動をしていきたいと思っています。
(子どもの本を読む会 伊藤紀久子)

すすめたい本
「いま、学校図書館を考えるために――塩見昇講演記録集」(学校図書館を考える会・近畿編 日本図書館協会)
「なにかおもしろい本なーい」(学校図書館問題研究会編 教育史料出版会)
「学校図書館白書2 図書館で世界、ひろがった!」(岡山市職員労働組合 学校図書館白書編集委員会)
ビデオ「本があって、人がいて――学校図書館と子どもたち」(岡山市学校図書館ビデオ制作委員会)
テキストファイル化日巻尚子