子どもの本の森

科学を楽しくわかりやすく

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 子供の科学の本のリスト「科学の本っておもしろい第4集」(科学読物研究会編、連合出版秋刊行予定)のリストづくりのお手伝いをした。
 この研究会は、子供の科学の本の研究、普及を目的としだれでも入会できる。私は長男が五歳のときに入会した。きっかけは偶然だった。虫やカエルやヘビの好きな長男のために図書館に通っては生きものの本を借りていたがいつの間にか私自身がそれらの本を好きになってしまった。大人の私にとってもカエルの暮らしは知らないことだらけだったからその内容がとても新鮮だった。そんなとき、図書館の棚(たな)で科学の本っておもしろいを見つけた。わくわくするような面白い本が紹介されていた。巻末の「研究会へのおさそい」を見て連絡した。
 あれから十年、今度は自分がリストづくりに参加し未知のだれかが手にとってくれることを思いながら本の選書をすることになった。
 私が担当したのは植物分野。一九九〇年から九四年までの五年間に出版された植物分野の本は約七十点余り。その三分の二に目を通してみた.。魅力的な本が何冊もあって思いがけず宝の山を探りあてたような気分になった。
 気がついたのは、子供向け植物の本といっても幼児を対象とした本を除くほとんどが読者対象を大人までとしている。植物の生態を伝えるとなると科学的正確さが前提となるから大人まで満足させるものでなければ子供にも役立たない。
 これはほかの科学分野の本にもいえることで子供の科学の本は内容のレベルを維持しつつ表現方法で子供に理解しやすい形がとられるので子供でも大人でも利用でき大人の初心者にとって最適な入門書となりうる。
 ただ図書館では子供の本のコーナーに置かれているので大人の目にはとまりにくい。これらの本を大人も楽しく活用してほしい。最後にすてきな植物の本を紹介しよう。「のはらのずかん」「森の草花」。前者は野を、後者は山林をフィールドにした絵本図鑑。草の名前を覚えたい人の力になってくれる。植物観察を共にしている友人たちに見せたら内容の豊かさに驚いていた。
 「森のきのこ」は、きのこの魅力に取りつかれた著者によるきのこ入門書。「植物記」は、身近な植物を新鮮な視点で見せてくれる本としておすすめしたい。
(静岡子どもの本を読む会 池上 理恵)

とりあげた本
「のはらのずかん―野の花と虫たち」「森の草花」(いずれも長谷川哲男作岩崎書店)
「森のきのこ」(小林路子作、岩崎書店)
「植物記」(埴沙萌作、福音館書店)
テキストファイル佐藤明子