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さて、ふつう夏休みの本、というとキャンプや旅行がテーマになりますが、今回は少し変わった夏休みの絵本をご紹介しましよう。まずは「はちうえはぼくにまかせて」(ジオン,G. 文 /グレアム,M.B. 絵/森比左志 訳/ペンギン社 1981/1998) 1人の男の子が夏休みは休めそうもないとお父さんにいわれ、一時は落ち込みますが気を取り直して、バカンスに出かけるご近所の植木鉢をあずかる、というアルバイトを思いつく話です。 その結果、家中おふろばまで鉢でいっぱいになって、読んでるこちらはユーモラスで楽しいのですが、親は結構大変だよね。でもこの2人は怒ったりせず、最後までやりとげた彼をきちんとほめて、9月になってようやくとれたお休みに、いそいそ彼を連れて出かけていくんです。 うってかわって「モンティー」(ジェイムズ・スティーブンソン作/麻生九美訳/評論社)はウサギのトム、アヒルのドリス、カエルのアーサーの3人組が毎朝学校に行く途中にある川を渡るのに、ワニのモンテイーを呼びつけて対岸までのせてもらう……。しかも方向が違うだのおそすぎるだの水をはねかすなよなんて文句をいい通しで、ね。で、遂にモンテイーに、ぼくは夏休みなの………とストライキをされてしまう話です。こまった3人はなんとか川を渡ろうとあれこれ考え、結局おぼれそうになった所を浮上してきたモンテイーに助けられて、モンテイーってちょうどいい速さで泳ぐよね方向もぴたっとあってるしと18O度変わるのよ。子どもたちはこの絵本が大好きで、何度読んでも大笑いしてくれます。作者のジエイムズ・ステイーブンソンは日本ではまあまり有名ではないと思いますが、この人の本ならまずはずれないといっていいくらい腕の良い描き手ですのでこの本が気に入ったら他の本も探してみてね。 ラストの「みどりの船」(クェンティン・ブレイク作/千葉茂樹訳/あかね書房)は1998年の絵本べストワン!だと思いますが、広大なお屋敷の庭に迷い込んだ兄妹が船の形に刈り込まれた木をみつけ、どうみても庭師にみえる水夫長と持ち主の老婦人と一緒にそこで夏中楽しくごっこ遊びをする、という話よ。これは年齢に関係なく、好きな人は好き、というタイプの物語です。「スタンド・バイ・ミー」のファンならたぶん愛してくれるでしょう。 |
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