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息子が幼いとき、「男の子なんだからメソメソしないの」と母親に言われ、「何で泣いちゃいけないんだ」と、抗議していたことがあった。男だから、女だからって、決め付けることの矛盾を、子どもは敏感に気づいているのだ。それなのに、男は逞しくとか、女は優しくとか、いつの間にか刷り込まれていく。服装にしても言葉遣いにしても、生活の中での役割分担までも、あらかじめ決まっているかのように。それって窮屈だし不自由だ。この絵本は、子どもたちの日常を素材に、ジェンダーとは何かをやさしく解き明かし、自分らしく生きることの大切さを考えさせてくれる。 まず、「女の子・男の子、どこがちがう?」と問いかける。体が違う、女はおしゃべり、男は乱暴。遊ぶこと、読む本、話し方、服装、好きなもの、他にもたくさん違いが思い浮かぶ。でも、「それって、ほんとうに男の子と女の子のちがいかな?」と問い返す。そして絵本は、固定化した男女の役割や描かれ方への疑問を投げかけ、読者が考えたり話し合ったりするきっかけを作りながらページを進めていく。コママンガふうのページを随所に挟みながら、細部まで描き込んだイラストが、ユーモラスで楽しい。二巻の『生きるってすてき』が同時発売で、『働くってたのしい』『女と男 これまで、これから』など、六巻まで続く。二十一世紀のスタートにふさわしい、新鮮で意欲的な企画である。(野上暁) 産經新聞2001.02.06 |
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