ことばあそびうた

谷川俊太郎・詩 瀬川康男・絵
福音館書店

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 かっぱかっぱらった
 かっぱらっぱかっぱらった
 とってちってた
 かっぱなっぱかった
 かっぱなっぱいっぱかった
 かってきってくった

 まるで早口言葉のようで、思わず舌をかんでしまいそうですが、ぜひ声に出して読んでください。初めはなかなか意味が取れないものですが、二読目ぐらいから、おかしさがジワジワ伝わってきます。
 同音異義語、類字音異義語の繰り返し、音韻の面白み、表記が全部かなのこともあって、視覚的にも、そのリズムの効果は強いものになっています。内容的には、小さい子には理解しがたいものもありますが、幼児は幼児なりに言葉の重なり合いを音感としてとらえ、個性的でユーモラスな版画絵とともに楽しむことができるでしょう。
 日本の詩歌の歴史には古くから、こういった言語遊戯がみられます。たとえば、万葉集には「よき人のよしとよく見てよしといひし吉野よく見よよき人よく見」という天武天皇の歌があり、平安時代には「同じ文字なき歌」として「いろは歌」が作られています。これらは、かなという表記法を持つ日本語ならではの言葉遊びといえましょう。
 しゃれ、早口言葉、しりとり遊び、回文など様々な言葉遊びは、単に遊びを通り越して、広く社会生活に浸透しています。コタツを囲んで、のんびりとしたお正月。言葉遊びを通しての一家団らんなどいかがでしょうか。
 続編としての「ことばあそび・また」もあります。
 
=静岡子どもの本を読む会
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