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十八世紀のドイツとポーランド地方を舞台に、十四歳の少年クラバートは、孤児仲間と門付けをして生きています。冬の日夢の中で不思議な声にさそわれ、仲間と別れ、水車小屋に行きます。そこは、魔法使いの親方のもとに十一人の粉ひき職人が働いています。 クラバートは見習いとして仲間入りをします。職人頭は慣れない仕事に苦労するクラバートを陰になって助けてくれます。親方から魔法を習っていきますが、それ以上に不可解なことが起きる水車小屋の生活。 決定的な出来事は大みそかの夜に起こりました。何ごともわきまえ、仲間たちの人望が高かった職人頭の不可解な死と、仲間たちが職人頭の存在などなかったように振る舞う姿に、クラバートは水車小屋の秘密を探り始めます。 友人と、村の娘の命をかけた愛の力を借りて、親方と対決します。ドイツの伝説を土台にした長編です。登場人物の個性が豊かに描かれ、物語の展開、構成が大変すばらしく、一気に読めます。
(亮)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化富田真珠子 |
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