草や木のまじゅつ

山崎青樹:文・絵
石曽根忠行ほか:写真 福音館書店

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 染色というと、むずかしく手間のかかるものと思いがちですが、そんな思いは、この本を手にしてみると、ふっとんでしまいます。つまり、なーんだ、こんなに簡単に染められるのかと思うことまちがいなし。
 さて、どんな草や木が染料となり、どんな色に染まるのでしょうか。本の中では、フジの葉で木綿のTシャツを染める工程が、わかりやすく写真と解説で紹介されています。
草木染の工程は、採集してきた草木の葉や茎を大なべに入れて水を加え、加熱して煮出し汁を作ります。その煮出し汁の中に布と媒染剤を入れて、煮染めをします。煮染めした布を水洗いし、乾かして出来上がりです。
 オオマツヨイグサの花を、みょうばん媒染すると黄色に、鉄媒染するとこげ茶色になります。路地に咲いている草花から、こんな色に染まるなんて、なんてふしぎでしょう。そんなふしぎがぎっしりつまっています。
 この本を片手に、台所にころがっているタマネギ、春菊、庭の桜、カキ、クルミ、林の中のクリ、クサギ、草原のヨモギ、ススキ、セイタカアワダチソウなど、いろいろ採って染めてみると、思いがけない発見をするかもしれません。そして、染色がもっと身近なものになるでしょう。
(ま)=静岡子どもの本を読む会