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これは、学研の大判のハードカバーシリーズの一冊でした。あのシリーズは、良かったね! ほとんど、おもしろくない、という本がなかった……。 といっても、私は大好きだったけど『オルリー空港22時30分』なんかは今出してもイミないだろうと思うけどさ。 で、動物もの……というのは、たいていその素朴さと力強さ、という特徴のために、今の時代においてはどうしても時代おくれ……のように見えてしまいがちです。だから新刊はなかなか出ないし、ジャンルとしては現役とはいいがたい、というところはあリますが、いいことはいいんだよ。 だからニコライ・カラーシニコフの代表作といわれてる『極北の犬トヨン』が完訳で出されたのはとても嬉しい。 表紙の裏に、初の完訳……と出てますが、じゃあ学研のは完訳ではなかったわけだ。でもおもしろかったからそれでもいいけど。 シべリア地方に住んでいるツングース人の猟師グランが、ある冬に老猟師の臨終に立ちあい、孫のダーン少年と子犬のトヨンをひきとった時から運がむき始め、豊かに暮らせるようになった……という一代記を〃わたし〃(政治犯としてシべリアに護送されてる途中、グランの家に泊めてもらった)にグランが語った、しっかりと結ばれた、彼の家族と一匹の犬の物語です。 こういうのが好きな人にはこたえられない名作てす。(赤木かん子)
『かんこのミニミニ ヤング・アダルト入門 図書館員のカキノタネ パート2』
(リブリオ出版 1998/09/14) |
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