じてんしゃにのりたい! 

グレギー・ドゥ・マイヤー作・絵

野坂悦子訳 くもん出版 1993/1998

           
         
         
         
         
         
         
         
    
 原作はベルギー。
 ベスはまだ三輪車しか持っていない。そのため自転車に乗れる年上の男の子から馬鹿にされたり。
 絶対自転車に乗れるようになるんだ!
 自転車屋のブルースさんに頼むベス。が、
「べスは、からだを右にかたむけます。右足をのばし、足のおやゆびまで、ぴんとのばしてみます。でも、ゆびの先が、ちょっぴりぺダルにさわっただけでした」。
 可哀想に思ったブルースさんは、「作業台から、のこぎりと、気の板をもってきました。そして、だまったまま、板のながさをはかったり、切ったり、けずったりしています。ブルースさんはつみきのようなものをふたつつくると、ぺダルにとりつけました」。これでなんとか足が届く。
 いよいよ自転車の練習。でもなかなかうまく乗れません。みんなが励まします。「ぺダルをこぐのよ。ぺダルをこいで、バランスをとるの。それさえできれば、だいじょうぶ」「かんがえすぎちゃ、だめよ。やってみれば、しぜんにのれるんだから。とにかく、からだを、ずっとうごかしていること。そこが、かんじんよ。うごいてなくちゃ、バランスがとれないでしょ」「ぺダルをこぐんだよ。ぺダルをこげば、じてんしゃはすすむんだ」
 これって、作者が後書きで言っているように、日常を生きるときの気持ちそのもの。それを、幼年物語にすることで、うまく描いているんやね。
 「幼くてかわいいでしょ」「純粋でしょ」だとかの、およそ、紙資源の無駄遣いとしか思えない作品が多い幼年者の中で、これは、いい。幼年をナメてない。
 それと、なじみのないベルギー作品だからでしょうか?
 ちょっと他のヨーロッパのものと肌合いが違う。うまく言えませんけど。 その辺りもお楽しみ下さい。(ひこ・田中) 
メールマガジン 1998/05/25