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春からひとり暮らしを始めて、少しは豊かな食生活を・・・と考えている人におすすめの一冊が『自炊のマニュアル』(家庭科教育研究者連盟編、大月書店・1200円)です。 この本のどこが画期的かって? かゆいところに手がとどくと言いたいくらい、全部の料理について手順がきちんと図解されていることです。卵の割り方にはじまって、タマネギのみじん切り、オムレツのうらがえし方なんかも一発でわかる。 ステーキとつけ合わせ野菜(外食だと高いぞ)のメニューから、きんぴらや肉ジャガといった和風おそうざい、クレープなどのデザートまで、ページをめくればどれも「これなら作れそう」と思えてくるでしょう。 そして実際作ってみたら、体でおぼえたコツや天性のカンなんかなくても料理はできる! という偉大な事実に感動すること、うけあいです。「だれでも、確実に、おいしくできる」というのは、まさにマニュアルの勝利。マニュアルは民主主義だ、などと思わずさとりもひらけます。 道具も基本的にフライパンとおなべくらいでOK。電気がまがなくてもおいしくごはんをたく方法(これを知っているとアウトドア遊びで尊敬される)もあるのです。 えっ、おコメのとぎ方がわからないって? だいじょうぶ。それもちゃあんとのってますから。(芹沢清実)
朝日新聞 ヤングアダルト招待席1991/04/21
テキストファイル化 妹尾良子
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