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ラストシーンが終わるとすぐに席を立つ人にちょっと読んでほしいのが、これ。かげで映画を支えている人々へのインタヴューを集めた本で、撮影、編集、録音、プロダクション・デザイン、衣装デザイン、メーキャップ、アニメーション、コンピュータ・グラフィックス(CG)、特殊効果の九つの章からなっている。『E.T.』の撮影を担当したアレン・ダヴィオ、『刑事ジョン・ブック/目撃者』の編集者トム・ノーブル、『未知との遭遇』の特殊効果を担当したロイ・アーボガストたちをはじめ、一九人の職人的芸術家が、それぞれの映画観から専門的なテクニックまで、おおいに語ってくれている。 石岡瑛子は、デザインを担当した映画『Mishima』を熱っぽく語り、『ラビリンス』のCGを担当したゲーリー・デモスは「我々は現実をシミュレートしているわけだけど……現実そのものではなく、現実の一断面をシミュレートしているんだ」といい、『ジェダイの復讐』のマット・ペインティング(背景の絵)を担当したクリス・エヴァンスは、優れたマット・ペインティングに必要なものは「省略」なんだ、と、なんとも意外な、しかしうがった答えをしてくれる。 へたな映画よりも、よっぽど面白く刺激的な科白がいっぱいだ。(金原瑞人)
朝日新聞 ヤングアダルト招待席 1998/04/10
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