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さのようこ≠ヘとっても売れてる、とっても有名な絵本作家兼エッセイスト。 でも私はね、彼女のおそらく一番有名だろう『百万回生きたねこ』や『だってだってのおばあさん』よりも、ずーっと、この『さかな1匹なまのまま』のほうが好きというひねくれものです。だって、若いつもりになったって、やっぱり小川はとびこせないもの。 同じもらわれてきたこねことおばあちゃんが主人公の本で『あの日の音だよおばあちゃん』というのもあって(110ページ参照)私はその話も涙が出るほど好きだっ! てとこで話はもどりますが、この『さかな……』はそのこねこが友だちを探しにいく話です。で、途中でヘビに会うんだけど、ヘビなんかやだなってやっぱり思っちゃうの。 こいつってば淋しがりのくせに俗っぽくってね、血統のいい白猫のお嬢さんかなんかに憧れるわけよ。でもむこうはのらねこなんててーんで相手にしてくれなくって、目から涙がじわっとか出ちゃったりもするのよね〜。 へっへっ、ざまみろ、とか思っちゃいます。 そのあいだじゅう、ヘビは辛抱強くついてきて、途中助けたりもしてくれちゃって、なーんにも泣きごとも恨みごともいわなくて、ほんっと、気のいいやつなんだよね〜。 で、こねこは最初思ってたことなんてすっかりわすれちゃって、お昼ごはんに帰ってくるわけ。「さかな1ぴき、なまね!」(ヘビはなまが好きだから)なーんていっちゃってさ。 このヘビって、つくづくと大人で、いいやつ! 何度読みかえしてもこの絵本は、こたえます。(赤木かん子)
『絵本・子どもの本 総解説』(第四版 自由国民社 2000)
テキストファイル化岡田和子 |
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