さむがりやのサンタ・@

レイモンド・フリッグズ/作 すがはらひろくに/訳
福音館書店 1974

           
         
         
         
         
         
         
     
 これはもう、クリスマスの本としては、他に並ぶものなき有名人。発売当初から一馬身くらい他の本を引き離して、いまだにトップを独走中なんじゃないでしょうか?
 このテの本をみると、ああ、日本のマンガってよそのと違うんだな、と思われるでしょうが、一応これもマンガです。コマがあって、セリフが入ってる風船があってね。
 ホント、ストーリーマンガってね、日本が世界に誇っていい、偉大な発明品です。アチラには、こういうのしかないんだから-。でもま、どんな形態をとるにせよ、おもしろければいいんですけどね。
 そうしてこの『さむがりやのサンタ』でもって、ブリッグズおじさんは現代のサンタの暮らしってものを完全に定着させてしまいました。
 このサンタ氏は、あー寒い、寒い、とブツブツいいつつプレゼントを配り、ふつうはミルクとクッキーが置いてあるのに、たまにウイスキーがあったリすると、おっ、気がきいてるよ、というような、実に人間くさい、サンタです。かぜもひけば、お風呂にも入るし、チヤホヤされれば嬉しがるし、ね。
 で、ふつう一作目がこれだけ質が高いと、二作目は落ちるものですが、この続編『サンタのたのしいなつやすみ』は一冊目とまあまあ互角の勝負をしています。なつやすみに休暇をとって、南の国に遊びに行くんだけどね、そのカッコが凄いのよ。なんせ真赤に白い水玉の水泳パンツなんだから! この衣装だけでもこの本は成功ですね!
 子どもと同じように、大人も喜ぶ絵本です。(赤木かん子)
『絵本・子どもの本 総解説』(第二版 自由国民社 1997/01/20)