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秋になって、すっかり陽がおちるのもはやくなりました。落ち葉の散る季節が終わると、もう一年の終わり。クリスマスはすぐそこです。そこで今回は、クリスマスを題材にした本を集めました。 町角にジングルべルが流れ、赤とグリーンのクリスマスカラーを見かけるようになると心が浮き立ってきます。 さて「クリスマスのおきゃくさま」はクリスマスが近づき、わくわくする気分が味わえる絵本。クリスマスイブの日、べンとジェインの家には思いがけないお客さまが次から次へと現れて、なんと十八人もの子どもが泊まることになりました。家の中はぎゅうぎゅうづめ、床の上や廊下、屋根裏部屋はもちろんお風呂や流しの中だってべッドにする始末です。さあて、サン夕クロースはまちがえず、みんなにプレゼントを届けてくれるでしょうか。大勢で迎えるクリスマスの楽しさ、暖かい雰囲気が伝わってくるようです。 変わって「クリスマスの猫」の舞台は少々さびしく、主人公のキャロラインは、両親と離れ、おじさんの家でクリスマスを迎える十一歳の女の子。牧師のおじさんは気弱で、いじわるな家政婦のいいなり。キヤロラインは、家から出ることを禁じられ、友だちは庭で見つけた猫と、高い塀を乗り越えてきた町の少年ホビーだけ。ふたりは力を合わせて、猫を守ろうとします。勝ち気な女の子と、貧しいけれど誇り高く、頼りがいのある男の子を描いた、心にしみいる、「本物のクリスマスストーリー」。舞台は一九三四年、食べ物も十分でなく、現在からは考えられないほど、貧しい時代のクリスマスのお話です。 そして「クリスマスのおはなし」は、クリスマスの絵本の決定版。いちばんはじめのクリスマス、厩のなかでイエス・キリストが生まれた日のことを、五色刷りの輝くばかりの色彩であざやかに描いています。聖書のなかに描かれた、ふしぎに満ちた物語が厳かに美しく、端麗に綴られています。 三冊ともクリスマスの本でありながら、まったく味わいは異なります。が、どの物語も共通しているのは、「クリスマスの奇跡」が起こること。 さあ、一九九八年、みなさんはどのようなクリスマスを迎えられるのでしょうか? ちょっぴり(だいぶ?)気が早いけれど、メリー・クリスマス!(星野博美) 「クリスマスのおきゃくさま」(ダイアナ・ヘンドリー文/ケヴィン・ヘンクス絵/ふじいきみこ訳徳間書店) 「クリスマスの猫」(ロバート・ウェスト-ル作/坂崎麻子訳 徳間書店) 「クリスマスのおはなし」(ジェーン・レイ絵と文/奥泉光訳 徳間書店) |
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